”コバ”ってご存知でしょうか?
革の断面を指す言葉なのですが、このコバの仕上げがブツの品質を大きく左右するのです。
革の端を薄く鋤いて内側に折り込む”ヘリ返し”って技法(柔道技っぽいな…)もあるけどそれではコバが見えません。蛙製作所はコバ好きなので 地道に磨いて仕上げてます。
コバ磨きに使う道具たち。
上段右から
・トコノール(糊)
・染料
・アルコールランプ
中段
・革を挟んで固定する奴(自作なんで名前がない…)
下段右から
・豆鉋
・サンドペーパー3種。ウッドブロックに固定して使います。
・ウッドスリッカー(磨き棒)
・染料用の塗り具
・コテ
・ロウ
具体的な使い方は順を追ってご説明致します。
切り出したばかりの革のコバ。
艶がないし白っぽくてガサガサしてる。
先ずは豆鉋でコバの角を軽く落とします。
次にサンドペーパーでコバを蒲鉾型に整形してゆきます。
番手を#240 -> #360 -> #500と細かくしながら整えます。
革を汚さないよう、”革を挟んで固定する奴”に革を挟んで固定して作業します。
トコノール(糊)をコバに塗り、ウッドスリッカーを使って磨きます。
いや、磨くと言うよりも繊維を圧縮してコバの凹凸を無くし、糊で固めると言った方が正確か。
コバが滑らかになるまで、サンドペーパー -> トコノール、を繰り返します。
ここまで作業を進めるとコバはこんな感じになります。
コバのガサガサ感がなくなって艶が出ています。
でも色がちょっとまだらです。革の表面がしっかり染められていても革の中は染まりきってない事が殆どで、断面を磨くほどにこのまだらがくっきり目立ってきます。
コバの色を均一にするために染料を塗ります。
この段階で顔料を塗って出来上がり!ってやり方もあります。と言うよりも普通の革製品はコバを磨かないで、切りっぱなしの断面にいきなり顔料(*)塗ってある物が殆どです。でも顔料て奴は、使ってる内にいずれ剥がれてくるのでイマイチ。蛙製作所ではアルコール系染料を使ってます。
染料を塗る時は化粧に使うアイカラーチップ?を適当な木の先に固定して使ってます。無駄なく塗れてはみ出しにくい。グー!
(*) 対象に染み込んで色付けするのが染料、対象の表面を覆って色付けするのが顔料、であります。
最後にロウを塗って仕上げます。
ロウは蜜蝋や松脂、ワックス等を混ぜ合わせて作ります。
アルコールランプで熱したコテでロウを溶かし、コバに浸透させます。
温度が高すぎると革が焦げるし低すぎるとロウが入って行かないので温度管理が大事です。
ロウが固まってしまわない内に布で磨き上げます。
ここで使っているコテも自作です。というかDancyuのオマケのフォークを切って磨いた物…。結構使えてます。
コバ磨き完了 (^o^)/
左が切りっぱなし、右が磨いた物。
手間は掛かるけどこの艶が欲しいのです。
見た目が良くなるだけでなく、コバが丈夫で傷みにくくなるので長く使うモノにはピッタリの手法です。
今はこんなやり方で磨いてますが、コバ磨きの沼はべらぼうに深く、まだまだ研究中であります。